NASA、深宇宙レーザー通信で記録的なデータ転送に成功

NASAの小行星探査機「プシケ」は、従来の無線通信を大幅に上回る速度で宇宙からデータを伝送できるレーザー通信システムの実証実験を成功させた。最大4億9400万キロメートルという距離で行われた65回に及ぶ試験運用では、合計13.6テラバイトのデータが地球へ送信された。

NASA、深宇宙レーザー通信で記録的なデータ転送に成功
著者:NASA。出典:jpl.nasa.gov

2023年に打ち上げられた探査機プシケは、金属が豊富な小行星「16プシケ」を目指して飛行中であり、2029年に到着する予定である。現在までの飛行中に、深宇宙光通信(DSOC)技術を用いた一連の実験を実施した。最初のレーザー信号は2023年11月14日、1600万キロメートルの距離から送信され、パロマー天文台のヘール望遠鏡によって受信された。

その後、さらに64回の実験が行われ、合計13.6テラバイトのデータが地球に送られた。これには、3050万キロメートルの距離から267Mbpsの速度で送信されたUltra HD映像も含まれている。2025年9月には3億5000万キロメートルを超える距離からの通信が達成され、2024年12月には、火星までの平均距離の約2倍に当たる4億9400万キロメートルという、これまでで最長距離でのレーザー信号送信記録が樹立された。

レーザー通信は、従来の無線通信と比較して、高解像度の画像や動画をより迅速かつ大量に伝送することを可能にする。従来の無線では低解像度の画像しか送信できず、火星探査機「インジェニュイティ」が撮影した写真の送信にも数時間を要していた。しかし、レーザー通信は極めて精密な方向精度を必要とし、信号の減衰という課題もある。例えば、2024年4月には、2億2500万キロメートルの距離から受信した信号の速度が25Mbpsに低下した事例があった。

NASAはこの一連の試験を成功と評価した。DSOCは、家庭用ブロードバンドインターネットに匹敵する速度を実現し、史上最長距離となる深宇宙から、大量の工学データ及び科学観測データを送信できる可能性を立証した。