米物理学者、宇宙は200億年後に「ビッグクランチ」で終焉との予測を発表

米コーネル大学の物理学者ヘンリー・タイ氏は、宇宙が約110億年後に最大規模に達した後、収縮を始め、さらに90億年後に「ビッグクランチ」と呼ばれる破滅的な崩壊を迎えるとする理論を発表しました。

米物理学者、宇宙は200億年後に「ビッグクランチ」で終焉との予測を発表
著者:NASA。出典:nasa.gov

これまで、宇宙が無限に膨張を続け、やがて冷えきって終焉を迎える「熱的死」を予測する理論が優勢でした。これは、アインシュタインの一般相対性理論の方程式に含まれる宇宙定数が正の値であるという考えに基づいています。しかし、タイ氏の新たな計算は、宇宙定数が負の値である場合、宇宙が冷えて消え去るのではなく、最終的かつ破滅的な崩壊を迎えるという逆のシナリオを示唆しています。

この結論は、北半球と南半球にある暗黒エネルギーを観測する天文台のデータに基づいています。タイ氏はこれらのデータを活用して宇宙論モデルを更新し、100年以上前にアインシュタインが導入した宇宙定数が負の値である可能性があることを示しました。

現在、宇宙は膨張を続けており、その年齢は約138億年とされています。宇宙定数が正であれば、この膨張は永遠に続くとされています。しかし、負の値である場合、膨張は停止し、収縮へと転じ、最終的な崩壊を迎えることになります。タイ氏は、この計算により初めて宇宙の終焉までの時期とそのメカニズムを推定できると強調しています。宇宙はゴムバンドが限界まで伸びた後、元の一点へと急速に戻るようなものだと説明しています。

この研究には、チリの「ダークエネルギーサーベイ(DES)」とアリゾナ州の「ダークエネルギー分光装置(DESI)」による観測データが重要な役割を果たしました。これらのプロジェクトは、宇宙の質量とエネルギーの約68%を占める暗黒エネルギーを研究しており、その性質が単純な宇宙定数だけでは説明できない複雑なものである可能性を示しています。

タイ氏らの研究チームは、初期の宇宙では宇宙定数と同じ効果を持ちながら、現在では異なる影響を与えている仮説上の超軽量粒子を想定したモデルを提案しました。このモデルは、観測データが負の宇宙定数を示唆し、将来の宇宙崩壊の仮説と一致する理由を説明するものです。

今後、ヴェラ・ルビン天文台や欧州宇宙機関のユークリッド宇宙望遠鏡、NASAのSPHERExミッションなどによる新たな観測データにより、暗黒エネルギーの性質と宇宙の運命に関する理解がさらに深まることが期待されています。